いきなりですが、あなたに質問です。(またしても!)
エジプト文明をはじめ「四大文明」の発祥地は、すべて大河の周辺です。
さて、その大河の中に、英語のtigerにやや似た名前の川があります。
何という川かご存知でしょうか?
そも、英語の「tiger」という呼び名の由来は何処に。
まず、この点に着目してみたい。
「tiger」の語源は、ラテン語の「tigris」から来ているという有力な説がある。
このtigrisはメソポタミア文明発祥の地、ティグリス川の「ティグリス」と同じ発音になる
(これで、質問の答えはおわかりですね)。
どうやら「同じ発音になる」のは、偶然でないようだ。
なぜなら、古代アルメニア語に「ティグリス」という言葉があり、
これは「とても流れの速い川」という意味以外にもう一つ「矢」という意味もあったからだ。
そこで、次のような仮説を立てることができる。
この当時、カスピ海周辺(メソポタミアに近い地域)には相当数のトラがいたはずである。
トラの敏捷性や力強さが「tigris」と結びついたのではないか。
さて、日本語の「トラ」という言葉の語源である。
日本人は、なぜこの動物を「トラ」と呼ぶのか?
残念ながら、ほんとうのところはよくわかっていないのである。
仮説を立てる材料はある。
中国南部の古い方言に「帯浪(タイラ)」という言葉があり、これがトラのことを指していたという。
日本人が「トラ」と呼ぶようになったのは、この「タイラ」が語源なのかもしれない。
この「タイラ」が発音的にtigrisやtigerに酷似しているというのは、気になる点だ。
両地域で似た言葉が自然発生したとはちょっと考えにくい。
中国南部というのもクセモノである。
どちらが先に誕生した言葉なのか解明しないことには、その伝播ルートは確定できないが、
「言葉の交易」があったのではないか。
シルクロードは「絹の道」であったと同時に、「言葉の道(トラの道?)」でもあったのだ。
語源をたどっていくという行為は、
人々が《その存在》とどうかかわり結びついていたのかを垣間見る行為でもある。
トラは人々に畏怖されていた。
トラは人々に「怒涛の流れ」や「矢」をイメージさせたのだ。
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